DMMによるCASHの買収やメルカリが「メルカリnow」を発表するなど、今年は即時買取サービス領域でのFintechが話題となりました。

一方で、給与前払いサービスの領域においても、今年9月にペイミーが資金調達を行ったり、人材サービス会社ディップによるBanqの買収が行われていたりと、活発な動きがあったように思います。

給与前払いサービスは、その名の通り、従業員が給料日前に給与を引き出すことができるサービスで、急な出費が必要なときにも簡単な手続きで給与を引き出せることがメリットであるほか、給与前払いサービスを導入した企業側としても、給与の支払い方法をフレキシブルにすることで、求人応募者数の増加や定着率の向上が見込まれるそうです。


今回は、今年盛り上がった給与前払いサービスを提供する企業をまとめてみました。

2017年9月に資金調達をしたペイミーが提供する「Payme」

出典:https://payme.tokyo/

ペイミーは、給料前払いサービス「Payme」を9月4日にローンチしています。

ビジネスモデルに関しては、「Payme」を解説しているツイートを見つけたのでご参照ください。

ペイミーが導入企業に代わって従業員に給与を前払いする際に、手数料を得ることで収益としているようです。手数料は企業の信用度によって変動し、3〜6%とのこと。

また、ローンチと同時に、インキュベイトファンド、エウレカ創業者の赤坂優氏、ペロリ元代表取締役の中川綾太郎氏、CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏から総額5200万円を調達したことを発表しています。

“3ステップで給料を前払い”、ミレニアル世代に向けた「Payme」が本日ローンチ

記事中では、既存の給与前払いサービスと差別化するために、若い世代でもストレスなく使えるUI/UXにこだわることで、ミレニアル世代にとって使いやすいサービスを設計したとのことでした。HPを見ると、「いつでもどこでも簡単申請」を売りにし、PC、スマホのいずれからでも申請可能で、即日受取可能という点がアピールされていました。


ディップによって買収されたBanqが提供する「ほぼ日払い君」

出典:http://hobohiba.com/

BANQはオンデマンド給料サービス「ほぼ日払い君」を展開しています。HPを見ると、「ほぼ日払い君」も、PC、スマホのいずれからでも簡単に申請可能なほか、振込口座が給与口座となるため面倒な手続きが不要となることなどがアピールされていました。

また、今年11月には求人情報サイトを運営するディップよって買収されたことが発表されています。(買収価格3.5億円、株式取得比率70%)。

株式会社 BANQ の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ディップは、アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」、総合求人情報サイト「はたらこねっと」、看護師人材紹介サービス「ナースではたらこ」などを運営している会社です。一見、給与前払いサービスとは関係ない企業にも見えますが、給与前払いサービスを導入することによる求人応募者数の増加や定着率の向上といったメリットと、自社のサービスを組み合わせることで新たな価値提供を目指していくようです。

また下記で紹介する給与前払いサービス「enigma pay」や「キュリカ」も、人材関連事業に取り組む企業のサービスであることを踏まえると、給与前払いサービスによる求人応募者数の増加や定着率の向上の影響は人材会社にとっても見過ごせない大きな影響力を有していることが伺えます。

また、BANQの経営状況を見てみると、黒字化もしておらず、売上もまだまだたってない状態でのM&Aでした。

ディップによる買収によって、成長を加速させていくことができるのか、今後も注目していきたいと思います。


ネオキャリアの子会社enigmaが提供する「enigma pay」

出典:https://www.enigma.co.jp/pay/

人材関連事業を中心に事業を展開するネオキャリアの子会社であるenigmaは、従業員の福利厚生を目的とした前払給与サービス「enigma pay」を、2017年6月にリリースしています。

【HRTech×FinTech】前払い給与サービス「enigma pay(エニグマペイ)」を発表~年内の利用者数20万人を目指す~

enigma payは、勤怠打刻データや給与データをもとに、従業員のスマートフォン、PC、ガラケー等からの前払い給与申請を、enigmaが企業に代行して従業員自身の銀行口座支払うサービスで、企業側のサービス導入・システム運用等にかかる費用はゼロ、また従業員側は一定の手数料を支払うことでサービスが利用可能といったことが特徴のようです。また午前9時25分までに申請手続きが完了すれば、当日中でも受け取ることが可能です。

ディップによるBANQ買収にも見られるように、人材関連事業を行うネオキャリアにとって、給与前払いサービスは相性が良いサービスのようです。

 

Payment Technologyの「前払いできるくん」

出典:https://www.paytech.jp/site/

Payment Technologyの「前払いできるくん」は、企業側に導入・運用費用ゼロのメリットを提供するほか、従業員側には申請の容易さや15時までの申請で最短翌日の振込が可能であるといったメリットを提供する給与前払いサービスです。

今年6月には、飲食店舗を中心としたASP型店舗管理サービス「まかせてネット勤怠管理」を提供するジャストプランニングと提携しており、労働人材不足が深刻な飲食業界に対して力を入れている様子が伺えました。

株式会社Payment Technology「前払いできるくん」と株式会社ジャストプランニング「まかせてネット勤怠管理」のサービス連携のお知らせ


総合人材サービス企業のヒューマントラストやアコムが支援するキュリカ

出典:https://www.cyurica.jp/

キュリカはATMでキュリカカードを利用することで、給与の一部を24時間365日出金可能にするサービスです。

またキュリカ公式HPには下記のような記載があり、従業員はATM手数料のみで給与の引き出しが可能なことや、その他の手数料がかからないことが強調されていました。

従業員に早く給与を支払える、前もって給与を支払えるなど、近頃、給与を随時払いできるサービスが多くなっています。しかし、その中には引き出しの時に、利用料と称して、利息もどき(ATM手数料は除く)を利用者に負担させるといったサービスもあるようです。これは早い話、借金の利息を払わせているのと同じです。 私たちは、これを本当の前払・前借とは認めません。キュリカは、従業員が給料日を待たずに、働いた分だけ給与をATM手数料のみで引き出せる給与随時払いサービス。その支払い金は会社から直接払い、利息を取るといったサービスではありません。

https://www.cyurica.jp/

 キュリカによる給与前払いサービスは、余計な利息がかかる借金でなく安心であることを強調している印象を受けました。

給料前払いサービスは貸金に相当するのか?

今年は、上述した給与前払いサービスや即時買取サービスが話題となりFintechが身近に感じられた一方で、既存の法律を違反していないかどうかの線引きに関しても話題になったように思います。例えば、下記の記事では給与前払いサービスのグレーゾーンについて、考察が述べられていました。

貸金業にあたらないっていうので企業からの前払い振込作業を代行する的なスキームかと思いきや、未払い賃金を債権担保にPayme側で資金融通して後日企業から直接回収して3%なりの手数料(=金利)とってるカタチで、これもろに貸金業にあたるんちゃいますの? 

1か月未満の返済金利が3%ということは年率金利余裕で20%超えてるし、貸金業の無登録営業および出資法上の上限金利違反っつーことになりまっせ。つまり冒頭ニュースでパクられてるのと同じパターン。

フィンテックと持てはやされる給与前払いサービスがこんがりグレーに香ばしい件

今年の11月にもメルカリで現金を販売したように装い、現金を貸し付け、法定金利を超える利息を受け取ったとして男女4人が逮捕されました。

メルカリに額面以上で現金出品 出資法違反容疑で逮捕

新規のサービスが出てくるとどうしても既存の法律との兼ね合いが話題になりますが、ユーザーにとって本当に必要なサービスなのかどうか、そうであれば法律からの歩み寄りも必要な部分だと思っており、今後もFinTechと既存の法律との歩み寄りにも注目していきたいと思います。