起業して将来的には上場したいと野心を燃やす起業家も、実際にどの程度の売上と利益があれば上場できるのか、知った上で起業している人は意外に少ないんじゃないかと思っています。今回は直近3年間で上場した企業が上場直前期でどの程度の売上、利益をあげていたのか調べてまとめたので、参考にしてみてください。実際に目指すべき姿が明確になると打ち手もクリアになります。闇雲に「上場を目指す」のではなく、リアルな数値として腹落ちさせてみましょう。

調査の対象と調査方法

直近3年間でマザーズに上場した下記のスタートアップが調査の対象です。上場時の新規上場のⅠの部に記載された上場直前期の売上および経常利益、経常利益率を調べています。

シャノン、ロコンド、うるる、ビーグリー、オロ、ティーケーピー、ユーザーローカル、ネットマーケティング、Fringe81、GameWith、UUUM、ウォンテッドリー、PKSHA Technology、マネーフォワード、クックビズ、キャリアインデックス、エルテス 、アイモバイル、ユーザベース、LINE、アトラエ、グローバルウェイ、エボラブルアジア、アカツキ、バリューゴルフ、はてな、マイネット、AppBank、ピクスタ、メタップス、イトクロ、アイリッジ、富士山マガジンサービス、マーケットエンタープライズ、ジグソー、Gunosy、レントラックス、Aiming、イード、ALBERT、ファーストロジックの41社

マザーズ上場直前期の売上の平均値は23億円、中央値は14億円

結論としてマザーズ上場直前期の売上の平均値は23億円、中央値で14億円という結果になりました。平均値を大きく引き上げたのが、貸し会議室のマッチングサービスを運営するティーケーピーで、上場直前期の売上がなんと179億円あります。なおティーケーピーの社長は1996年に伊藤忠商事に入社し、伊藤忠が立ち上げた日本オンライン証券(現、カブドットコム証券)に出向した後に4年目で退職し、現在の楽天銀行に転職という経歴の持ち主です。

全体としてスタートアップとして資金調達を行い、上場を狙う企業は売上高10億円を一つのベンチマークとして考えており、10年以内にここを突破できるように成長戦略を描いているように思います。

経常利益の平均値は1.4億円、中央値は1.2億円、経常利益率の平均は-0.79%、中央値は10.06%

次に利益を見ると、概ね1億円ちょっとの利益が必要になりそうです。経常利益率を大きく引き下げているのが、グノシーの経常利益率-380%。上場直前期のグノシーは売上3億円に対し、経常利益が-13億円と大きく赤字を掘っている状態での上場でした。もちろん短期間で業績を急激に伸ばし、現在では2018年5月期の予想で売上高100億円を突破する規模になっています。

外れ値となってしまうグノシーおよびティーケーピーを外して散布図にしてみましたが相関は読み取れません。あくまでそれぞれの企業ごとの上場までのストーリーがあり、個別に売上高および経常利益について判断されているものと思われます。

ライバル企業が上場すると上場できない問題

グノシーにとってのスマートニュース、マネーフォワードにとってのfreee、クラウドワークスにとってのランサーズなど、スタートアップにはビジネスモデルが極めてよく似たライバル企業が存在するケースがままあります。上場していない注目領域の企業で言えば、クラシルを運営するdelyとデリッシュキッチンを運営するエブリーが、現在ガチンコの勝負中です。

ライバル企業が上場すると上場できないというルールが明確にあるわけではありませんが、ライバル企業が上場すると自分たちの上場が危うくなるので出来る限り、ライバルよりも早く上場したいと考えているスタートアップ経営者が多いのは事実です。

freeeがマネーフォワードに対して特許訴訟を仕掛けたのもマネーフォワードの上場を遅らせるためではないかという噂が流れ、freeeの佐々木社長は記者の質問でそれを否定するといったことがありました。

――ちなみに、freeeが上場に向けて準備しているという話もあります。それと今回の件は関連しているのでしょうか。

佐々木氏 まったく関係ありません。上場準備という観点では、ベンチャーキャピタルからの出資も受けていますし、どこかのタイミングでイグジットは考えなければいけません。我々のビジネス規模もそれなりのサイズが出てきましたので、検討すべきことではあります。ただし、どちらかというと事業を作っていくことを優先しており、あまりIPOを急ぐ会社ではありません。そういう意味では、今回の件と上場準備が関係しているかというと、まったく関連のない動きです。

 あくまでも、2016年8月にマネーフォワードが自動仕訳の機能をリリースし、それについて調査した上で9月に警告書を送ったという流れです。

マネーフォワード勝訴に対してfreeeは何を思うのか--佐々木代表に聞く - (page 2)

ライバルよりも早く上場する必要があるので、従来よりも早く事業成長を求められるため、1社あたりの調達金額が大きくなり、資本の論理で戦う必要がある場になったのが近年のスタートアップといえるのではないでしょうか。

上場までの道のりが見えやすくなってきた

ここ数年でスタートアップの上場事例が増えてきたため、今まで以上に上場までの道のりが見えやすくなってきたといえます。上場すればその企業の情報はかなり丸裸になるので、自社にいかせるKPIや財務分析なども気軽に行えるようになってきました。本サイトも情報を整理して発信することで、スタートアップの経営にも貢献し、成功する確率を全体として高めることに貢献できればうれしいです。